cinkenzi

掌編小説

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タケル

もし、己のいちもつを咥えたら・・・。

制御できない気持ちがあった。
まるで、皮膚の下ですくすく育つ悪性腫瘍のように。
願望、いや、渇望していた。
その先に、いったいどんな世界があるのだろう?

タケルは両足を後頭部にまわした。
背骨をまるめた。 近づけた。

・・・ついに咥えた。


いきなりドアが開いた。

「お、お兄ちゃんっ!何してんのっ!」

いちもつが咽に詰まった。
後頭部にまわした両足の靭帯がちぎれた。
口の中で親の仇のように膨張する、いちもつ。
もはや言い逃れできない状況。
説明したかった。なぜ、こうなったか。
動けない。 薄れゆく意識・・・。



「早くっ!救急車をよんでっ!」
オフクロが泣きながら背中をさすっている。

「タケルっ、大丈夫かっ? 息はできるかっ!?」
親父の叫ぶ声。


遠くで救急車のサイレンが聞こえる。



まぁ、人生なんてこんなもんだろう。

・・・すべてが消えた。


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